外資系リーマンです。ネットワーク界の巨人AT&Tがクランチロール売却を検討中です。
最大15億ドルでの売却を見込んでいるとのことです。
売却先はソニーピクチャーズを検討しているとの事。
AT&Tは以前もリストラを実施しており、資産の切り崩しが目立ちますね。

クランチロールとは
AT&Tが持つクランチロールとはどんな会社なのでしょうか。
Crunchyroll(クランチロール)は、日本のアニメ・ドラマ・漫画などのコンテンツを提供する配信サービス、およびそれを運営するアメリカの企業。本社はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ、日本法人は東京都渋谷区渋谷にそれぞれ所在する。(Wikipediaより抜粋)
アニメに特化した配信サービス会社ですね。日本で言うところのdアニメストアみたいな会社です。
ユーザー数は6,000万人と、スケールが非常に大きいですね。元々は海賊版を流す違法サイトだったらしいです。そこから、日本の東映やKADOKAWA等と提携し、著作権侵害ではない正式なサービスとしてリリースされました。
AT&Tが持つネット配信サービスHBOにも人気作品を同時配信しています。
AT&Tから見た時のクランチロール
AT&Tのメインの動画配信サービスはHBOであり、ここに資本を集中しています。
2020年5月27日にはHBOMAXという新サービスも始まり、更にこちらに注力しています。※世界で初めて、日本のジブリ作品なんかも配信されています。
アニメサービスは人気はありますが、6,000万人のユーザーを誇っていても多くが無料会員のため、会員全てから収益が上がらないのがクランチロールの弱みです。
また、HBOとクランチロールは同じ動画配信サービスということでコンテンツが重複しており、別々にサービスを実施するためコストもかかるとHBOをより大きくしたいAT&Tから見たときには、これらが不要になったと考えられます。
ソニー・ピクチャーズがクランチロールを欲しい理由
AT&Tが運営するHBOは既にアメリカで4,000万世帯のユーザー数があります。
一方でソニー・ピクチャーズの運営する動画配信サービス「Paravi」のユーザー数は約91万人
ここを強化したい、ソニー・ピクチャーズからするとクランチロールはアニメを通じてParaviのユーザー数を増やす起爆剤となる可能性があります。
ここから、海外ユーザー獲得を目的としていると考えられるでしょう。
資産を切り崩してでも、AT&Tが守りたい物
リストラや、既存店舗の閉鎖、はたまたアニメサービス会社等多くの資産を切り崩してでも、減配は実施しません。
これは、AT&Tが非常に大事にしている物を守るためでもあります。
それは、歴史と信頼です。
AT&Tのような、歴史の長い会社は実はアメリカでは貴重です。アメリカはGAFAなど新進気鋭の新しい物、サービスが高く評価されます。
そのため、AT&Tのような歴史ある会社が減配、無配を業績が動く度に実施すると、もうこの会社、サービスは古臭いからダメだ。となるわけですね。
ここで、リーマンショックでも、コロナウイルスショックでも増配となると、『やはり、AT&Tは別格だ』という個人投資家の判断になります。
ちなみに、AT&Tは36年連続の増配を実施しています。
これらを守るためにAT&Tはリストラや資産売却をしてでも、投資家を守るのですね。
それでも、投資判断は慎重に
そこまでして、AT&Tは投資家を守るという姿勢を見せています。
しかしながら、こうした経費削減や資産売却には限界があります。
従って、本業の業績が回復するか、新しい動画配信サービスが軌道に乗る事を十分に確認して追加投資を行う方が良いと思います。
現在のAT&Tの配当利回りは6.89%と非常に高くなっています。
魅力的な配当利回りですが、これを継続できるかという点は、HBOMAXの成功あるいは、5G回線による契約数増加がどのくらい見込めるかにかかっています。
今後も注目していきたいと思います。
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